実施する際の望ましい声掛け

更衣介助は、利用者の身体に触れるデリケートな行為であり、利用者との信頼関係を維持し、尊厳を守るために適切な声かけが不可欠である。不適切な声かけは利用者に不安や不快感を与え、拒否や抵抗を引き起こす原因となりかねないため、介護職は声かけの技術を磨く必要がある。
NG例は、利用者の意思や感情を無視した一方的かつ機械的な指示だ。「早く服を脱いでください」といった命令形や急かすような言葉遣いは、利用者に無力感を抱かせ尊厳を傷つける。また、「さっさと終わらせますから」などの効率のみを優先する発言は、ケアの質よりも業務消化を優先している印象を与え、不安を増幅させる。同意を求めず理由も説明せずに介助を始めることも、不安や不信感につながるNG行動である。

一方、OK例として推奨されるのは、利用者の意思を尊重した声かけである。最も大切なのは、介助を始める前に「これからお着替えをさせていただきます。よろしいでしょうか」と同意を得ることだ。その際、「寒いので早く済ませましょう」「着替えてスッキリしましょう」など、行為の目的やメリットを分かりやすく説明して協力を促すことがポイントだ。介助中は、次の動作を具体的に予告し、短い言葉で確認することが有効だ。これらの声かけは、利用者に心の準備をさせ、予期せぬ動きへの驚きを防ぐ。
また、体調への配慮も重要だ。「痛いところはありませんか」「この服で寒くないですか」と確認することで、利用者は自分が大切にされていると感じ、安心感が増す。更衣介助は、利用者とのコミュニケーションの時間と捉え、状況に応じて適切な声かけを使い分けることが、安全かつ快適なケアの実現に繋がる。